大腸ポリープとは
大腸ポリープとは、大腸にできる「いぼ」状の隆起した腫瘍のことです。数ミリ程度のものから数センチのものまで大きさや形状はさまざまです。
大腸ポリープは「腫瘍性」と「非腫瘍性」に分けられます。
大腸ポリープの8割以上が腫瘍性で、これは大腸癌や腺腫が含まれるため、増大・癌化するリスクが高いとされています。その形態には隆起したポリープ、平坦なポリープ、陥凹型のポリープなどがあります。
非腫瘍性のポリープには、炎症性、過形成性があります。
大腸ポリープの大きさ
5mm〜8mm程度のポリープの場合、がん化する可能性は3%以下といわれています。一方で20mmを越えるポリープの場合、がん化する危険性が約50%にまで増大します。
5mm以上のものは切除適応です。小さいうちに検査で発見し、治療することが望ましいです。
ポリープが悪性だったら
全ての大腸ポリープに癌が含まれている訳ではありませんが、放置すると増大し癌化する恐れもあります。
大きさが5mm以下では癌の含まれる率が0.6%、6~9mmでは7%ですが、10~19mmでは24.6%、さらに20mmを越えると35.8%まで上昇するという報告もあります。5mm以上のものは切除適応となりますので、切除を推奨します。
大腸ポリープができる原因は酒・たばこ?予防はできる?
大腸がんは家族(血の繋がった親・兄弟・子供)に大腸がんを患った方がいる場合、そうでない方に比べて2~3倍程度、罹患率が高い傾向にあります。遺伝と関連して発生する家族性大腸腺腫症(familial adenomatous polyposis:FAP)やリンチ(Lynch)症候群などがありますが、全大腸がんに占める割合はほんの数パーセント程度です。
それ以外では、日々の食生活・生活習慣の乱れが大腸がんを患う危険因子として懸念されます。
- 高カロリーの食事を好む
- 肥満傾向である
- アルコールを飲む量や頻度が多い
- 喫煙習慣がある
など、とくに50歳を迎えた方はリスクが高いため、注意が必要です。
予防法としては、食事療法と運動療法が適しています。
日々の食事の中で脂肪の摂取量を減らし、食物繊維の多い食べ物をはじめ、果物・野菜などのバランスの良い食事が望ましいです。無理のない範囲で、日常的に適度な運動を取りいれられるように心がけましょう。
40歳を迎えた方は、大腸カメラ(大腸内視鏡)を推奨しています。また、40歳未満の方でも、ご家族に大腸がんを患った経験のある方がいらっしゃれば、定期的な検査をおすすめしております。
大腸ポリープの症状と検査方法
大腸ポリープの症状
自覚症状が無いケースが一般的で、検診時に偶然見つかる方も少なくありません。
大腸ポリープのほとんどが過形成性ポリープか腺腫性ポリープに分類されますが、大腸ポリープの8割以上が腺腫性ポリープです。
当院で行う検査・日帰り大腸ポリープ切除
人間ドックや検診の便潜血検査や大腸CTなどで要精査といわれた方や、過去に大腸がんや大腸ポリープの治療歴のある方には、大腸カメラ(大腸内視鏡検査)をお勧めしています。
大腸カメラ検査とは、肛門からスコープ(内視鏡)を挿入し、大腸の中を直接観察する検査です。大腸のどこに異常があり、どのような状態になっているのかを正確に把握することが可能です。検査時に大腸ポリープが見つかり、切除適応と判断された場合は、日帰りでポリープ切除することもできます。入院等の手続きが不要な手術なので、お忙しい方もお気軽に治療を受けていただけます。
大腸ポリープの切除・治療方法
大腸ポリープの切除では、病変の形や大きさに応じて下記のような手術法が選択されます。
- ポリペクトミー
- 内視鏡的粘膜切除術(EMR)
- 内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)
内視鏡による3つの治療方法
ポリペクトミー
茎や起始部の径が10~15ミリ以内の小さなポリープの場合は、ポリペクトミーが検討されます。
内視鏡の先端に取りつけた金属製の輪(スネア)を病変に引っかけて締めつけ、高周波電流を流して切除する治療法です。
内視鏡的粘膜切除術(EMR)
ポリープの粘膜下に薬液を注入して盛り上げ、ポリペクトミーと同様にスネアをかけて高周波電流で焼き切る治療法です。リンパ節転移の可能性がない場合に治療可能です。切除できる範囲に制限があり、大きな病変は数回に分けて切除するか、別の方法(ESDか外科手術)が選択されます。
内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)
ポリープの粘膜下に薬液を注入し、専用の電気メスで病変の周囲の粘膜を切開します。
そのまま病変を少しずつ切り離していきます。一定の大きさ・深さの癌であれば、外科手術をしなくても病巣を取り除くことができます。
大腸ポリープを切除した後の食事
大腸ポリープ切除後しばらくの間は、胃腸の調子を伺いながらお腹に優しい食事をとるように心がけてください。
最初は水分を少しとり、徐々に消化の良い食事を試みましょう。
水分をとった後で体調が優れない場合は、少し時間をあけてから食事をしてください。
大腸ポリープを切除した日から2週間ほどは、胃腸に負担をかける食事は避けることが望ましいです。とくにアルコールや刺激物は控えるようにしてください。
検査・ポリープ切除後の食事
OK | NG |
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食物繊維の多い食事、胃腸に負担をかける刺激物は避けましょう。 |